‘free agent’status

 

また人材関連のニュースですが,気になった表現がありますので,取り上げさせていただきます。

 

Sony grants star workers 'free agent' status

Sony has introduced a new approach to personnel management that gives its best workers control over their careers. 

Employees who have been in the same department for three years and achieved high marks in their performance reviews are eligible for "free agency." This means they have the right to choose where they work within the electronics maker. The system jibes with late co-founder Akio Morita's vision of the ideal workplace setup.

http://asia.nikkei.com/Business/Companies/Sony-grants-star-workers-free-agent-status

この‘free agent’は,おそらく野球から来た表現です。プロ野球においての「フリーエージェント」(以下FAとする)は「国内FA」と「海外FA」に分かれます。「国内FA」を取得するには8年,「海外FA」を取得するには9年を要するということです。当時の横浜ベイスターズから巨人に移籍した村田修一選手を見れば,イメージしやすいかもしれません。「ポスティングシステム」という新たな仕組みが誕生するまで,海外(メジャーリーグ)に行くには「海外FA」は絶対条件だったわけです。

このニュースの‘free agent’の共通点は,違うチーム(記事の場合は会社)に行っても,野球選手(記事の場合で言ったら電子メーカーの社員)としてプレーできるということです。相違点としては期間の違いが挙げられます。FAのおよそ3分の1の期間で成果を出せば,その資格が得られるということです。

クローズアップ現代+」(2016年4月13日放送)では,人材会社と組んだ企業側の社員に対する「退職の強要」などが取り上げられていましたが,記事に書いてあるようなことを行えば,人材会社と組まなくても,会社全体がよくなっていくのではないかと考えました。

ですが,この権利を行使して,どれだけの社員が(同業種の)他の会社に移っていくのかは疑問が残ります。同業種と言うことですから,仕事はさほどは変わらないはずです。ですが,いくら同業種でも,(ITなどを活用した)社内の効率化が図られていたりして,従業員の少人数化が進む現代ですから会社で受けた「FA」を行使しても,待っているのは「追い風」なのではという悪い想像を勝手にしてしまいます。同番組では,50歳で転職された方の今が挙げられていました。その方の話によると,転職の面接はキャンセルに次ぐキャンセル,失敗に次ぐ失敗で,それでも何とか4社から内定をもらったそうです。しかしその内定の1つは小さな町工場の従業員ということだったそうです。転職後は,給料が転職前の半分くらいになっていたということです。私も本放送を見ていて,「転職しない方がベストな選択だったのでは?」と首を傾げてしまいます。このようなむごい選択をしないよう,気を付けるよい機会となりました。この試みがいい方向に向かうことを祈らんばかりです。